砂漠

――その気になればね、砂漠に雪を降らせることだって余裕でできるんですよ



主人公・北村とその仲間たちの大学生活を描いた青春小説。
前にノベルズ版を借りて読んだんですが、今回文庫本版が発売した記念に購入して再読しました。



物語は「」「」「」「」「卒業の春」に分かれています。

社会を砂漠に見立て、オアシスという学生生活を過ごす5人の話ですが、
麻雀をしたり合コンをしたり、恋人ができたり、不良に絡まれたり…充実した生活を送っていて羨ましいです。

北村、鳥井、南、東堂、西嶋
「クラスに東西南北が名前に入ってる人が集まってるなんて、これはもう麻雀をやるしかない!」
という理由で西嶋に集められのがきっかけでこの5人は大学生活を共にします。

主要人物は
北村」…本作の主人公で語り手。鳥井曰く「鳥瞰型の人間」でどこか冷めた部分がある。
岩手出身。語りの部分で「―なんてことは、まるでない。」をよく用いる。

鳥井」…カワセミの様な頭をした女たらし。明るくて面白いことに対して首を突っ込む性格。
横浜出身で南とは中学の同級生。「ぎゃはは」「俺、好きだよ、こういうの」が口ぐせ。

」…大人しいけど日向なような温かい女の子。実は超能力が使える。
横浜出身で鳥井とは中学の同級生。

東堂」…モデルのような風貌の絶世の美女だがとても無愛想で、様々な男性からのアプローチを無下にしている。
仙台が地元。西嶋の影響でラモーンズの歌を聴くようになる。

西嶋」…本作のキーパーソン。新入生歓迎会で遅れて登場していきなり戦争に対して嘆き、
世界平和や麻雀の話をして屁理屈をこき、場を白けさせ周りから浮いた存在。
しかし鳥井曰く「西嶋は臆さない」自分を信じていて努力家な一面もある。
麻雀では世界の平和を願い、いつも平和(ピンフ)で上がろうとするが挙がった試しがない。
通り魔のプレジデントマンを応援している。ラモーンズの熱狂的なファン。千葉出身。


他には
ブティックの店員の鳩麦さん、とても優しいけど謎に包まれてる古賀さん、
合コンの相手で何かを企んでる短大生の長谷川さん、ボーリングで鳥井と対決するホスト礼一、ホスト純、
幹事はやっぱりこの人!幹事の莞爾(かんじ)、キックボクシングのチャンピオン阿部薫、
「おまえは大統領か?」と訪ねてくる通り魔のプレジデントマンという様々なキャラが脇を固めます。





大まかなあらすじは
」…国立大学の法学部で同じクラスになった5人。
新入生歓迎会やボーリング大会、麻雀でお互いを知っていきます。
そしてある日北村、鳥井、西嶋、クラスメイトの4人で合コンをし、その後のボーリングでタチの悪いホスト達にに絡まれ鳥井は賭け勝負するも…

」…仙台で流行りの通り魔の住処を知り、興味本位でそこに向かった5人。
そこで空き巣事件に巻き込まれ、5人の内1人が大変な目に合ってしまう。
そしてその後西嶋が取った意外な行動が…

」…学園祭の催し物で超能力者対決があり、そこで八百長が行われると知った5人は、
出し抜こうとある行動を取る事に…

」…各々がそれぞれの将来を考える中、大学生活の早さに嘆く西嶋。
そして今までの様々な出来事や事件があり、これらの決着を付ける時が来る…






印象に残ったセリフは西嶋の
困ってる人がいれば、ばんばん助けちゃえばいいんですよ、後先のことなんて関係ないですよ
俺は恵まれないことには慣れてますけどね、大学に入って、友達に恵まれましたよ
がとても好きです。


そして最後に莞爾が北村に言う「本当はおまえたちみたいなのと、仲間でいたかったんだよな
学長の「人間にとって最大の贅沢とは、人間関係における贅沢のことである
というセリフで、5人はこの大学生活を共にしたかけがえのない一生の友になったんだなって感じました。



最後の文は

 四月、働き始めた僕たちは、「社会」と呼ばれる厳しい環境に、
予想以上の苦労を強いられる。<中略>
 昔に観に映画と同じ程度の感覚で思い返すくらいになり、結局、僕たちはばらばらになる。

なんてことはまるでない、はずだ。


となっていて、読んで鳥肌が立ち感動しました。
映画なら黒い背景で白いテロップが表示され、そしてすぐにエンドクレジットとBGMが流れる場面が想像できます。






↓ここからネタバレ



















物語は春夏秋冬で区切られていて、大学一年の一年間の話かと思いきや、なんと
大学1年の春」「大学2年の夏」「大学3年の秋」「大学4年の冬」「卒業の春」の四年間の出来事のお話なのです。

上手く気づかれないよう、でも良く注意深く読むと分かるような作りになっていて、
もう1回読み返したくなるようになっています!



伊坂作品の中で一番好きな作品で、これは何度でも読み返したいと思います。

砂漠 (新潮文庫)砂漠 (新潮文庫)
(2010/06/29)
伊坂 幸太郎

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伊坂幸太郎「砂漠」

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